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04/22

IESHILを動かす、“全部飲み込む”マネジメント術

こんにちは。リブセンス広報担当です。
久々の投稿となってしまいました。とある掲示板に、「LIVESENSE infoのブログ好きなのに全然更新してくれないなあ」というコメントが。嬉しい気持ちと申し訳ない気持ちでいっぱいです。

さて、今回は、不動産情報サービス「IESHIL(イエシル)」のリーダーを務める芳賀にインタビューします。IESHILは、昨年8月27日にオープン。ちょうど本日、リアルタイム査定の対象エリアが首都圏全域へ広がりました。(プレスリリースはこちら

「IESHIL(イエシル)」のリーダーの芳賀

「IESHIL(イエシル)」リーダーの芳賀

広報:
芳賀さんが入社されて、1年と少し経ちました。誰もが知る大手IT企業から、リブセンスに移ろうと思ったきっかけは何だったのでしょう?
芳賀:
日本発の先進的なサービスを創りたい、というこだわりですかね。
以前、米国に本社があるIT企業の日本支社に勤めていました。良くも悪くも本社の権限がすごく大きくて、新機能が追加になる場合、米国本社から講師がやってきて英語で説明を受けるんです。日本支社のディレクターは、まずそれをキャッチアップして、英語の管理画面を使って対応していきます。日本のユーザーから「こんな付加サービスをやってほしい」「もっとこんなカスタマイズをしてもらいたい」という声をどんなにたくさんいただいても、ローカライズはすごく難しい状況でした。例えば、商品のカスタマイズができる機能を追加する企画を日本発で行った際、米国本社とメールや電話で交渉するわけですが、ワールドワイドで開発を行っているため、誰がキーパーソンなのかを探すだけでも一苦労。ちょっとしたシステム改修のはずが、5年がかりのプロジェクトになってしまうほどでした。米国本社にいれば、どんどん新しいチャレンジができますし、付加サービスの導入などすぐに取り組める話なのかもしれませんが、日本の支社にいるとそうはいかない。このまま米国主導の会社で、日本のユーザーニーズに応えていくのはキツイな、と感じていた頃、村上さんと話す機会を得ました。
日本の不動産領域でユーザーが抱えている不便や問題をとにかく解決していきたい、透明性を上げて業界を活性化させる新サービスを立ち上げるんだ!という村上さんの強い思いを聞いて、やっぱり日本でサービスを創っていきたいと思いジョインしました。
インターネットのサービスって、米国が常に日本の先を行っているんですよ。だからこそ、Made in Japanの新しいサービスを創りたい、という思いがすごく自分の中にあるんです。

広報:
なるほど。芳賀さんがよくマスメディア取材時に「日本という狭い枠組みの中で手を拱いているうちに、外資が参入してきて業界を一変させる。日本のユーザーに合ったサービスは、業界内で協力し合いながら自分たちが創らなければ。」と力説していた背景がわかりました。
芳賀:
私自身、不動産業界の出身ではありません。でも、ユーザーにとって良いサービスを創りたいし、少しでも不動産業界の透明化・活性化に貢献したい。そのためには、業界内の方々と信頼関係や協力関係を築いていくことが必要不可欠です。その取り組みの1つとして、不動産業界の有識者や実業家の方々を招いた座談会を開催しています。座談会では、海外情勢の共有、日本における課題や解決に向けた意見交換などを行っているのですが、毎回新たな気付きや刺激をいただいています。
例えば、米国など海外の場合、不動産情報の透明化が進んでいてユーザーも売買に必要な情報を持っています。そういう状況下では、不動産会社のコンサルティング力が差別化要素となるわけです。このため、コンサルティングサービスを提供する各営業マンのレベルが高い。不動産会社は、所属している営業マンのパフォーマンスが上がるように、競ってバックアップする仕組みを整えているんです。日本は、2014年度のグローバル不動産透明度調査で26位と、主要先進国に大きく遅れをとっています。まだまだ、家を売買しようとしているユーザーがご自身で判断をするための情報が揃っていない状況と言えます。結果、知識や情報を持っている不動産屋さんの店舗へ何件も足を運ばなければならない。不動産屋さんも、忙しい中基本的なことから丁寧に説明しなければならず、営業効率も下がってしまう。そんな両者の課題を解決しようと誕生したのが、IESHILであり、イエシルアドバイザーサービスなんです。

不動産情報サービス「IESHIL(イエシル)」のサイトイメージ

不動産情報サービス「IESHIL(イエシル)」のサイトイメージ

広報:
国が2020年までに、中古住宅流通市場やリフォーム市場の規模を倍増(20兆円)させようと動いていたり、いくつかの企業が新サービスの提供を始めたり、最近では“Real Estate Tech”という言葉が出てきたりと、日本の不動産業界が動き始めている感じがします。
とはいえ、新しい視点のサービスをゼロから立ち上げるというのは、なかなかハードルが高かったのでは?
芳賀:
ハードルしかなかったですね(笑)
IESHILのサービスを支えているのは、ビッグデータを活用した価格査定エンジンです。リブセンスは、ビッグデータの活用やシステムの開発には長けていると思いますが、不動産関連のビッグデータを扱うのは初めてでした。住居データを集めるにしても、これはマンションなのかアパートなのか、一応一般的な定義はあるものの、どう見てもこれはマンションではなくアパートではないか?という建物もあり、データの収集対象を絞るだけでも一苦労でした。
立ち上げ当初、村上さんとエンジニア1人と私の3名で、不動産関連の専門知識があるメンバーはゼロ。査定エンジンの開発は、日々テストを繰り返し、どのアプローチが正しいのか白熱した議論が続きました。このままでは前に進まない!と思い調べてみると、価格査定の領域で大学の先生方がいくつか論文を発表されていたんです。入社後、私の最初のミッションは、査定エンジンのブレーンを探すことでした。ちょうど1年前は、なぜか毎日大学まわりをしていましたね(笑)4~5人の先生方とお会いしお話を伺う中で、「ヘドニック法」というのがあることを知り、シンガポール国立大学の清水教授にコンサルティングをしていただくことにしました。そこから新メンバーも加わり一気に開発が始まって、加速度的にプロジェクトが前進していきました。

広報:
IESHILは、リブセンスに長くいるメンバーがほとんどで、個性派揃い。しかも社長の肝入プロジェクト。マネジメントもなかなか大変かと思うのですが・・・
芳賀:
正直、あまり自分が先導している感じではないんです。各々のメンバーの役割や強みが明確で、例えば3人のエンジニアも査定エンジンの開発、データベースのマスター開発、フロントエンドと、必要なところに必要な人がぴたっとはまっている。だから、私の役割は「調整役」と「外交」だけですね。各々やることが明確な上、メンバーが皆同じ方向を向いている。それが、フラットな組織でもプロジェクトが前進している理由だと思います。また、リブセンスの特性かなと感じることとして、みんな良いものを創ることに素直で純粋なんですよね。普通、仕事となると、自分のタスクを増やさないように動きがちです。でも、そんなことが一切ない。良いと思ったら、とにかくやる。そこには、言い訳や妥協はありません。
過去のマネジメント経験を振り返ってみると、失敗だらけでした。営業時代は、自ら数字を上げに行き、本来マネジメントのあるべき役割を果たせていませんでした。自分でやっても意味がない。任せて良い人には信じて任せ、マネジメントとしてメンバーが数字を上げられるように教育に徹するべきでした。また、企画の仕事をしていた時は、企画だけの中で仕事をしてしまっていた。広告配信システムを考えて作る際も、エンジニアやオペレーションの人に最初は相談せず、こうします、とトップダウンで進めていました。だから、いざプロジェクトを進めようとしても、関係者の協力が上手く得られない。最初から相談して関わってもらっていれば、もっと上手くいったのに。振り返ると、謝ってばっかりでしたね(笑)。

メンバーとの信頼と共感について語る芳賀

メンバーとの信頼と共感について語る芳賀

広報:
30代後半、いろんな失敗や反省があって今に至っていると思います(自分も含めて)。プロジェクトマネジメントをしていく上で、芳賀さんが大切にしていることは何でしょうか?
芳賀:
メンバー個々人の特性や大事にしているもの・考え方を尊重することを大切にしています。それらは、合っている、間違っている、と他人が言えるものではありません。なので、絶対に否定しません。チームができた当初、なぜこの人がリブセンスで働いていて、なぜこの人がIESHILのプロジェクトに加わっているのか、この人はこれをやりたい、この人はこれを大切にしている、というメンバーの志向やこれまでの軌跡を一度全部飲み込みました。そうしないと、一緒に仕事をしていても距離ができてしまうと思ったんです。IESHILのようなプロジェクトの場合、仕事内容が多岐に亘ります。自分ができることだけじゃない、いろんな人たちと関わり一緒に創っていかなければなりません。自分じゃできないという大前提で、メンバーとの信頼関係を構築していくことこそがマネジメントの役割だと思っています。
一般的にものづくりの現場は、企画をする人が作り手にコレを作れと指示し、作り手は言われたものを作る、という流れだったと思います。もちろん、その方が効率的で上手くまわるケースもあると思います。ただ、Webサービスに関して言うと、エンジニアもビジネス視点・ユーザー視点がないといけない。作る人と企画する人考える人区分けをすることによって、面白いものができないんです。そういう意味で、IESHILのエンジニアと話をしていると、ビジネス寄りの思考を持っているなぁと感じることがよくあります。だから、例えば関係省庁へ行く際、エンジニアと一緒に行くことだってあります。その人が大事にしていること、実現しようとしていることを、実現できるように後押ししていくのが、私の役割だと思っています。

広報:
「イエシル・アドバイザー」サービスがスタートして、ちょうど2ヶ月。ユーザーの方々の反応はいかがですか?
芳賀:
実際に、お客様から「不動産会社へ行く前にこの話が聞けて良かった」という声を多数いただいています。今のところ、満足度は高いですし、直接その声を聞くことができるので嬉しいですね。アドバイザーへのご相談内容としては、「今、この物件を買うべきかどうか」といったタイミングについてや、「不動産会社さんからこう言われたけど、どう思う?」といった客観的な立場からの意見を求められることが多く、想定していたサービスが実現できていると感じています。
IESHILのパートナーとなる不動産会社様もすでに100店舗以上集まっていただいています。最初にご案内した際は、ほんとに来店に繋がるサービスなのか、と懸念されていた方々も、実際に送客できているので、徐々に信頼関係は上がってきているのではないでしょうか。
現状、「イエシル・アドバイザー」サービスは、目黒本社でのご対応に限られるので、ご提供範囲は限られてしまっています。今後は、IESHIL全体がビジネスとしてスケールできるよう、事業をブラッシュアップしていきたいと考えています。

広報:
最後に、IESHILの今後の展開を教えて下さい。
芳賀:
村上さんともよく話しているのですが、IESHILでは、“家を知るということは、人生の土台をつくること”だと考えています。スタート時は、賃貸と区別する意味でも売買サービスと謳っていましたが、売買という範囲に執着していません。意外と、今自分が住んでいる家について知らない人が多いと思うんですよ。売買というのは、自分の住環境を変える1つの手段に過ぎません。今住んでいる場所がどういう場所か。今住んでいる環境を今後どうしていきたいのか。もっと、ご自身がお住まいの家・住環境に興味を持ってもらい、知って頂くためのサービスにしていきたいですね。まさに、「家知る(イエシル)」です。今後は、ユーザーの皆さまの人生の土台をつくるべく、売買というショット型の利用だけではなく、日々使って頂けるサービスに進化させていければと思っています。

芳賀さん、ありがとうございました。

 

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