2月中旬からリモート勤務が始まり、はや3カ月。

リブセンスではこの3カ月間、新型コロナウイルスへの対応としてさまざまな取り組みを行ってきました。社会的な唯一の「正解」がないなかで、完全リモート勤務、メンタルサポート、一時金支給など、今できることを積み重ねてきました。

リブセンスが基本としたのは次の二つ。従業員や関係者の方々の安全を確保し、社会の構成員として感染可能性を最小化すること。また長期戦となることを前提に、事業の継続性も重視することです。

将来、社会科の教科書に載るような出来事を経験している今。いつか振り返ることができるよう、またこのような状況下で「会社」はどうあるべきなのかを皆さんと一緒に考えられるよう、私たちのこれまでの取り組みを時系列で記していきます。

2020年2月17日|第1弾・リモート勤務「推奨」へ

今年2月の日本を覚えているでしょうか。日本でも感染者が報告されはじめ、連日ダイヤモンド・プリンセス号の集団感染が報道されていたあの頃です。潮目が変化したのが、2月17日。天皇誕生日の一般参賀や、東京マラソンの一般参加の中止が決まり、20日には厚生労働省から今後のイベント開催のあり方についての見解が発表されました。

リブセンスでも、2月17日に「新型コロナウイルス対策・第1弾」をアナウンスしています。内容は次の通りです。

・2週間(2月17日~3月1日)の期限つきで、リモート勤務を推奨
・対象となるのは東京・京都オフィス在籍者
・既存の規定では、リモート勤務ができるのは一定の在籍期間がある従業員のみだが、雇用形態や在籍期間にかかわらず、全従業員を対象に
・出社が必要な場合は上長(部門長)の許可を得た上で出社可能
・2月1日以降、本人もしくは家族が指定する国へ渡航した場合には、帰国してから2週間は「在宅命令」とする
・採用面接は、Web会議ツールを使いリモートで実施。最終面接は本人の意向に沿って決定

2月17日時点では、まだ社会的にリモート勤務は広く実施されておらず、依然多くの人が電車通勤をしていました。

リブセンスでも、呼びかけたのは拘束力の低い「リモート推奨」だったため、リモート勤務に移行した従業員も多くいる一方で、当時リモートでは業務遂行が難しかった電話対応を行う部署や、営業メンバーなど、出社を継続している従業員もいました。

2020年3月2日|第2弾・小学4年生以下の子を持つ従業員への補償を決定

2月27日、首相が全国の学校に臨時休校を要請。全国の働く保護者たちを震撼させました。この時点では具体的な休校スケジュールや補償などは全て未定の状態でしたが、リブセンスでは緊急の対策会議を実施、翌日には次のような補償を発表しました。

休校や休園によるお子様の育児等対応が必要になり、出社が難しく、かつリモートでも業務遂行が困難な従業員に対する経済面のサポートを通じて、安心して継続的に働ける環境を提供する。

・小学校4年生以下のお子様がいて、休校・休園により、自宅でのお世話が必要な従業員
(勤務地や雇用形態は不問)を対象に、自宅での業務割合にかかわらず、1日当たりの給与を規定に基づき補償
・学童等の利用や家族・親戚のサポート等の自助努力は極力行った上で、それでも難しい場合に限る

また、第1弾で発表した内容に以下を追加し、リモート勤務推奨をさらに2週間延長しました。

・東京・京都オフィスのみならず、宮崎・関連会社も対象に

2020年3月16日|第3弾・政府の動きを判断基準に

3月上旬にウイルスは瞬く間に世界へと拡大し、3月12日にはWHOが「パンデミック」認定しました。ライブや就活イベントなどは次々と中止となり、海外渡航を自粛する動きが出始めます。

安倍首相は3月10日、「3月19日ごろを目途に、これまでの対策の効果について、専門家会議の判断が示される予定だ。国内の急速な感染拡大を回避するために、極めて重要な時期であるため、今後10日間程度はこれまでの取り組みを継続するようお願いしたい」との見解を示しました。

ここまでは、リブセンスとして会社の独自判断を進めてきましたが、ここからは日本政府の対応に合わせた判断へと基準を変更しました。

2020年3月30日|第4弾・リモート勤務を「推奨」から「強制」へ

3月25日、東京・小池都知事が緊急会見を行い、週末の外出自粛を要請。飲食店が夜の営業を自粛したり、美術館や図書館などが臨時休業をしたりと、外出自粛に向けて一気に社会がモードを切り替えました。「三密」というキーワードが使われたのもこのタイミングです。

リブセンスでは、リモート勤務を「推奨」から「強制」へとレベルを引き上げ、これまで2週間ごとに更新していた取り決めを「無期限」へと切り替えました。

・無期限の、完全リモート勤務へ
・新卒採用・中途採用・カジュアル面談・最終面接問わず、すべてリモートで実施
・入社式と研修は、運営・新入社員・中途入社者を含めた関係者全員がリモートで実施

CTS(社内向けシステム部門)や総務の尽力により社内システムへの接続やネットワークの増強、モバイルルーターの貸出、自宅からのIP電話接続などの整備が行われ、すべての職種のリモート勤務が可能になりました。現在は郵便対応など一部の業務を除き、ほぼすべての従業員がフルリモート勤務を続けています。

また、リモート勤務のパフォーマンス向上のため、会社で使用していたディスプレイや椅子を時限的に持ち帰り可能としています。

入社式や新入社員研修も完全リモートで行い、現在でも新入社員の方々と対面での交流は叶っていません。

2020年4月16日|第5弾・メンタルサポートプログラム開始

リブセンスは比較的早くからリモート勤務への移行に取り組んできたこともあり、4月7日に7都府県に緊急事態宣言が発令されたときには、すでにリモート勤務が日常に溶け込み始めていました。

同時に、別の課題も浮上。リブセンスでは月に一度、従業員のコンディション調査をしているのですが、4月に入り「あまりコンディションが良くない」と回答する人が突如増えたのです。慣れないリモート勤務、オンとオフの切り替えの難しさ、先行き不透明な未来への不安感などから、心身に不調をきたしている人たちがいるようでした。

そこで私たちは、オンラインカウンセリング事業を展開する株式会社cotreeさんが始めた「メンタルサポートプログラム」に賛同し、従業員・一般の方それぞれに無償でオンラインカウンセリングを提供することに。一般の方向けの提供はすでに上限に達し終了していますが、こちらは「事業以外でも社会に貢献する」というリブセンスの指針に沿った取り組みでした。

・cotreeの「メンタルサポートプログラム」に賛同し、従業員・一般向けに無償提供
・育児などで定時の業務遂行が難しい従業員などを対象に、勤怠を柔軟にし、業務時間の枠を調整できるように

4月末には、5月6日終了予定だった緊急事態宣言を延長する方針が明らかに。リモート勤務開始からは2カ月以上が過ぎ、自宅のインターネット環境を整えたり、仕事用に家具を追加したりと、環境面でのサポートの必要性も高まっています。

リモート勤務の手当やサポートは今後も継続して検討していきますが、安心して効率的・継続的に業務を行えるよう、5月初旬には一時金を支給することを決定しました。

・全従業員を対象に、一律3万円を支給


リブセンスのコーポレートビジョンは「あたりまえを、発明しよう。」です。今後も状況の変化に応じて、私たち自身も変化していけるよう、一つひとつの施策を積み重ねていきます。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。次回の記事では、スピーディに対応することができた理由を考察します。

従業員満足度の高い新型コロナ対応ができた“背景”を読み解く