リブセンスではこの3カ月間、新型コロナウイルスへの対応として、完全リモート勤務、メンタルサポート、一時金支給など、さまざまな取り組みを行ってきました。前回の記事で時系列での取り組みをまとめていますので、ぜひご覧ください。

リブセンスの新型コロナ対策、時系列で一挙公開!

新型コロナウイルス対策に、正解はありません。従業員の感染を防ぐこと、他者へ感染させないこと、会社や事業を存続させること、今はあらゆる人がそれぞれの立場で悩みながらそのバランスを模索しています。

そのような状況のなかですが、先日従業員へ行った定期サーベイでは、一連のコロナ対策が始まった後の会社への満足度は高まっていました。正解がないなかでも、その場その場で行ってきた決断に、共感してくれた従業員が少なくなかったのではないかと受け止めています。

今回は、リブセンスがスムーズにリモート勤務へと移行できた理由、また各局面でスピーディに意思決定を行えた理由などを考察してみました。

① 最初に大方針を決めた

第1弾のコロナ対策を発表した2月中旬、企業が行うべき社会的な基準がなかったため、独自の判断基準を持たなければいけませんでした。社会的な「正解」がないなかでも、リブセンスは「従業員や関係者の感染リスクの最小化」と「長期戦になる可能性に鑑みた事業の継続性」という二つの大きな柱をはじめに決めたことで、後の意思決定を円滑にすることができました。

2月時点で、これが世界的なパンデミックになることを想定できていた人は少ないと思います。しかし事態が長期化する可能性を前提に考えられていたことが、スムーズな対応へとつながったのではないかと振り返ります。

② 正確性や網羅性より「スピード」を優先した

新型コロナウイルスはとにかく「感染力の強さ」が特徴であると報道されていたため、会社としての方針をいち早く伝えることが、従業員の安心感のために必要なことでした。そのため、正確性や網羅性より「スピード」を優先させました。

独自の判断基準を持たなければいけなかった2月当時は、2週間のスパンで定期的に対応を更新。「間違ったら修正する」「現状での最善をとる(後で変化してもOK)」というスタンスを従業員が受け入れてくれたことが、意思決定の速さへとつながりました。

また、会社の意思決定はもちろん、新たなツールの導入等についても、一部の事業部ですでに導入実績があるものを全社展開するなどし、検証プロセスを大幅に短縮して進めることができました。このあたりは運用中に出てきた課題をもとに、今後改善を進めていくことになるでしょう。

③ 柔軟性を重視し、細かい運用や対応は現場に委ねた

「制度」を作り込むのではなく、「運用」で対応するという方針をとりました。slackで各部門の責任者が集う「緊急連絡部屋」を作り、現場からの意見を吸い上げながらも、細かい運用や対応はそれぞれの部門に委ねました。この権限委譲が「スピード」にもつながったのだと考えています。

CTS(社内向けシステム部門)や総務といった管理部門も逐一本部に確認をとるのではなく、やるべきことを独自にどんどん進めるスタンスをとりました。その結果、リモート勤務開始の翌週には、全従業員がリモートで働ける環境の整備が完了しました。

④ コロナ以前から「リモート勤務」が働き方の選択肢にあった

リブセンスでは、コロナ以前から「どこでもワーク」という名称で、リモート勤務を選ぶことが可能でした。日常的にリモート勤務をしている割合はさほど高くありませんでしたが、エンジニアやデザイナーを中心に一定数存在し、日頃からリモートでの業務遂行ができる制度が整っていました。

そのためVDIやVPNの強化もゼロからのスタートではなく、キャパシティの拡大へとすぐ着手することができました。

⑤ slackやZoomなどのリテラシーがそれなりにあった

リブセンスでは、コロナ以前からslackのコミュニケーションが活発で、なかでも絵文字の豊富さは転職してきた人たちからもよく驚かれます。チャンネルもゆるいものから真面目なものまで多数あり、Google DriveやConfluence(社内Wiki)などを使ってオンラインにデータをストックすることも習慣となっています。こうしたテキストコミュニケーションが活発なカルチャーがあったことが、リモート勤務へのスムーズな移行に寄与したのかもしれません。

また、東京・京都・宮崎オフィスをまたいでの会議などでZoomを日常的に使っていたため、働く場所こそ変わったものの、使うツールは大きく変わりませんでした。

おわりに:今後も、必要に応じて変化できるような柔軟さを

現時点において、リブセンスは「すべきこと」は対応できているのではないかとまずまずの自己評価をしています。しかし今後、一瞬のうちに状況がガラリと変わってしまう可能性もあります。リブセンスの従業員やステークホルダーにとっての「最善」も、状況に応じて変わっていきます。

5月21日現在、39県を対象に緊急事態宣言の条件付き解除が発表され、経済活動を再開させる動きがあります。しかし制限を緩和した他国では感染の再拡大も散見されており、まだまだ油断できない状況です。

一連の対策を通して、私たちは「変化に寛容になること」の重要さを学んでいます。2月から3カ月間、変化に対して「すべきこと」を積み上げてきました。しかしここからは、変化を先取りすること、変化を活かすことが必要になっていくはず。ひいては「変化を起こす」ことができるよう、私たち自身も変わっていかなければいけません。

これまでの正解を手放し、「あたりまえ」をアップデートする勇気を持つこと。変化の多い日々に揺らぎながらも、一つひとつの悩みや葛藤から目をそらさないことが、脈々と新たな世界を創り上げていくのだと思います。