「称賛」と「感謝」――リブセンスではこの2つをコンセプトに、半年に一度、表彰式を兼ねた納会を実施しています。メンバーが一堂に介する機会はなかなかないため、この日は久しぶりに顔を合わせる仲間と近況を語り合いながら、お酒を片手に、みんなで功労者を讃え合います。
残念ながら、7月に開催された上期納会では、新型コロナウイルスの影響でそれが叶いませんでした。しかし、代わりに「リモート納会」を実施。オンラインならではの良さが際立つ、これまでにない形の納会となりました。
今回の広報ブログでは、リモート納会を中心となって企画した、人事部の酒井美樹さんにインタビューをし、工夫した点などを聞きました。
会場を仮押さえし、ギリギリまで粘った
イベントごとを実施するとなると、通常は半年ほど前から会場を押さえておかなければなりません。酒井さんも半年前の2020年1月に、いつもの会場を予約していました。
ところが2月、3月と、世界の様相はどんどん不穏になっていきました。一方で、春先は誰もが「少しの間自粛すれば、街はすぐに戻るはずだ」とも考えていました。酒井さんはキャンセル料がかからないギリギリのタイミングまで判断を粘りましたが、リスクを考慮して予約をキャンセルすることに。
酒井さん「本来ならオリンピックがあったので、開会式の直前の7月22日に納会をして、お祝いムードのなか連休を迎える想定でした。しかしそれも無くなったので、ならば(7月1日から下期に入るため)もっと早いタイミングで実施したほうがいいのではと、予定より2週間早めることになったんです」
リモート納会を初めて実施するにあたり、酒井さんはメンバーズさんの事例や、Goodpatchさんの事例などを参考に、企画を進めていったそうです。
今回は「①どのような配信ツールを使ったか」「②どのように一体感を醸成したか」にテーマを絞り話してもらいました。
司会はYouTubeのライブ配信で、受賞者の中継はZoomで
リモートでのイベントというと「Zoom」が浮かびますが、「YouTube」をベースにしたのはなぜでしょうか。酒井さんは、ツールの特性の観点からこう答えます。
酒井さん「Monthly Meetup(全社で毎月行っている事業報告会)ではZoomを使用していますが、ほとんどの方が画面オフにしているんですね。自分の顔が出ると緊張するので、当然だと思うのですが」
Monthly Meetupでも司会を務めている酒井さん。画面オフの無機質な文字がならぶ中で司会進行をするのは、やりづらさを感じていたと言います。
酒井さん「それから、Zoomは仕様上、話している一人にしかスポットライトが当たりません。複数名が同時に話している様子を配信するためにも、そして視聴者にリラックスしながら見てもらうためにも、ZoomではなくYouTubeのライブ配信がぴったりだと思いました」
表彰式では、受賞者コメントをもらうのが定石です。しかし受賞はサプライズ。受賞者に事前に配信ルームで待機してもらうことはできません。そのため、次のような運用で受賞者との中継を実現しました。
YouTube上で受賞者を発表
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運営チームが即座に、Slackで受賞者にZoomのURLを連絡
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受賞者がZoomにログイン
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ライブ配信画面を切り替える
YouTubeでライブ配信をするとなったとき、心強い味方となったのが、社内ラジオ「リブラジ」でも配信を担当している石川遼さんでした。石川さんはラジオ聴取が趣味で、配信に必要な機材にも詳しいという、なんともありがたい存在です。
石川さん「リブラジで培ったライブ配信のノウハウはありましたが、今回は映像も入るということで、考慮しなければいけない点が増えました。普段業務で使っているPCを配信でも使用したため、高画質にするとPCが固まったり、映像がカクついたり……。画面切り替えのスムーズさを褒めていただいたりもしましたが、実は最終リハまで一度も成功せず、不安なまま本番を迎えていました」
石川さんとともに配信を担当した、デザイナーの阿部洋平さんも「ポーカーフェイスで乗り切った」と振り返ります。
阿部さん「いつもは1カ月ほどかけて納会の準備をしますが、今回は10日間しかありませんでした。リハは全3回行ったのですが、最初のリハでは、ムービーはおろかスライドの完成度も3割にも満たず、責任者の酒井さんの顔色がみるみる青ざめていくのが分かりました。2回目のリハの後も、酒井さんが心の中で『終わった』とつぶやいているのが、明確な音声として聞こえてきました(笑)。
しかし経験上、ここで制作陣が焦ってしまうと、その焦りが現場全体に伝わり悪影響を及ぼします。なので私はあくまでポーカー・フェイスで、何か秘策があるような思慮深い表情で乗り切りました」
リモートでも一体感を出すために「盛り上げ役」をアサイン
もう一つ、リモート配信でどのように一体感を出すかは、当初からの課題でした。部署や同期などのコミュニティでZoomでつながりながらの視聴を促しましたが、最も一体感の醸成に寄与したのは、「ガヤ」を入れることができるSlackのチャンネルでした。
「#全社会つぶやき部屋」というチャンネルにメンバーを誘導し、約350名が一つのチャットルームに集います。そこでは「888888888888」と声援を送ったり、受賞者コメントにツッコミを入れたりしており、ここはニコ生かな…?という空間ができあがっていました。
(「88888って何? バグ?」という人に「パチパチって拍手のことやで」と教えてあげるワンシーンも見られ、やさしい世界が出来上がっていました)
受賞者への賞状の授与も、Slack上で。各賞が発表されると、デザイナーの小橋桃子さんが受賞者とノミネート者にデータの賞状を送ります。
さらに、小橋さんには「盛り上げ役」という任務も与えられていました。「運営メンバーのなかで、一番チャットへのフットワークが軽そうだ」という酒井さんの独断から任命したそうです。実際に、運営の様子をつぶやいたり、コメントに率先してリアクションを送ったりというコミュニティマネージャーのような存在は、Slackの盛り上がりには不可欠でした。
小橋さん「Slackのつぶやき部屋では、副音声的に、なるべく放送の裏側を楽しんでもらえるよう工夫しました。『表彰時に聞こえる拍手の音は、運営メンバーがマイクに向かって拍手しています』とか『司会もソーシャルディスタンスでお送りしています』とか。それらにどれくらい効果があったかは分からないですが、みなさん優しいので『運営が頑張ってるからいっぱいコメントしてあげないとな』と察して盛り上げてくれたんじゃないかなと思っています(笑)」
次回に向けての課題は「リモート懇親会」
開催後に実施したアンケートでは、「初のリモートでの取り組みだったが、ラジオのノウハウを使ったのか、非常にスムーズで素晴らしいと思った」というものや、「リモートであの完成度は驚いた」「移動が発生しなかったのも個人的に良かった」といったポジティブな反応が多く見られました。
また改善点として、次のような意見も。「チャットだけでは部署の盛り上がりがいまいち分かりづらいので、テレビのワイプみたいにランダムで視聴者が映ったりすると、ライブ感があって盛り上がれる」「今回がダメなわけではないが、リアルには勝てないというのが本音」。
酒井さんは全体的な満足度に安堵しつつも、次回に向けて構想を膨らませます。
酒井さん「リアルでの運営チームは全部で8名でした。いつもなら人事部全員で運営をするのですが、今回は感染リスクがあるために、最小限の人数でしたが、それぞれが最大限の力を発揮してくれたと思っています」
酒井さん「ただ、反省点もあります。例えば、納会後の懇親会。今回は飲食手当として、参加者全員に3000円を支給していましたが、懇親会のルームに入りづらくて離脱してしまった人も多いのではないかと思います。もし次回もリモート開催であれば、懇親会まで楽しめるような企画を考えたいです」
年末に開催される下期の納会も、リモート開催となる可能性が低くありません。リアルで集えない寂しさはあったものの、初の試みに、多くの人がこれまでにない楽しさを見出していたのではないでしょうか。いつかまたリアルで集えるその日まで、今はリモートならではの強みを磨いていきたいですね。