以前、代表の村上と谷村の対談で新たな全社方針の重要戦略として掲げた「リアルデータエンジニアリング」についてご紹介しました。今回は、ブランド戦略グループの永澤に、6月1日に公開した新コーポレートサイトでいかに全社方針を社内外に伝えようとしているのか、その想いを語ってもらいました。

ブランド戦略グループの永澤さん

ブランド戦略の担う役目とは

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今年1月にリブセンス全社方針が発表されました。この全社方針を社内外へ発信するにあたり、ブランド戦略グループでやろうとしていることは何ですか。

永澤:
社内外の方に対し、リブセンスという企業の理解が進みやすい状態を創り、少しでも多くのファンを増やすことです。また、社内ブランディング、社外ブランディングに活用できる企業としての魅力を創造するにあたり、クリエイティブを通して言語化・視覚化し、企業本来の姿を正しく伝えることがブランド戦略グループの役目だと思っています。

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ブランディングには、これまでどのような課題があったのでしょうか?

永澤:
実はリブセンスでは、企業アセットをブランド体系的に位置づけ、それらを明確化する取り組みを行ったことがありませんでした。
もちろんビジョンやロゴの意味などそれぞれを個別に定義し社内共有しているものは存在しましたが、企業のアイデンティティを訴求する目的で、各企業アセットの役割と関係性を整理・構造化して発信する事を殊更に行って来なかったんです。
今回のコーポレートサイトリニューアルでは、企業の考え方や方針、未来像に対しての理解が深まり、且つ採用候補者や既存社員により多くの共通認識を生み出せるものとして機能する様に努めました。

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満を持して新コーポレートサイトが公開されました。コーポレートサイトリニューアルの目的はどんなものだったのでしょう。

永澤:
企業の特色や強みを明確にしリブセンス「らしさ」を体現する事です。リブセンスの特色や強み、それらを生かして何を目指しているのかという世界観を分かりやすく伝える位置づけとしてコーポレートサイトが存在すると思っています。
リブセンスは今年創業12年を迎え、新たな全社方針を社内外に発信していく企業フェーズに立ち、私たちが創業から一貫して取り組んできた事業コンセプトを改めて「社会の課題を解決する」とメッセージ化して打ち出していこうと方針が固まりました。「らしさ」の体現にあたって差別化を図るためにも、まずは会社の顔であるコーポレートサイトでしっかりと社内外に伝えたかったんです。

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私たちの価値観」というページに記載の「社会の課題を解決する」というワーディングについては、どのように決まっていったのですか。

永澤:
以前、リブセンスはSEOの技術でサービスが成長してきた時代がありました。しかし、ビジネス環境に応じた変化が求められるフェーズを迎えて、企業成長を促進していくために何が強みなのか、何で競争優位を作っていくのかを改めて考える必要性を感じました。
多くの人が関わり様々な意見が錯綜し、「これだ!」という明確なソリューションはなかなか生まれてこなかったんですね。中には、チャレンジはしたもののうまくいかず断腸の思いで断念した施策もありました。そんな中、なぜ私たちは今ある事業を続けているのかを紐解いていくと、「社会にある課題を解決する」事が私たちのミッションとして相応しいと考えたんです。ブランド戦略グループとしては、私たちの特色・強みとして打ち出していきたい概念や思想を、様々なフェーズでその都度、各ステークホルダーに理解してもらい浸透させていくことが大事だと思っています。

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「社会の課題を解決する」というメッセージは他企業でも目にすることがありますが、リブセンスが定義する「社会課題解決」とはどのようなことですか。

永澤:
私は、「働く意味」=「仕事を通じて社会に貢献し、自身の大切な人の人生にフィードバックすること」だと考えています。当社は、「企業として目指す先」また「社員の人となり」、のどちらにも共通して、利他主義かつ社会に視座が及んでいると感じるんです。

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全社方針で新たにメッセージ化された内容は、今回のコーポレートサイトではどのようにコンテンツとして盛り込みましたか。

永澤:
コンテンツ制作で大切にしたことは、「企業イメージを正しく伝える」ことです。それは、これまでのコーポレートサイトは企業イメージを適切に表現するメディアとして意図的に設計されていなかったように思えたからです。今回のコーポレートサイトでは、企業がどのような志向性を持って事業を運営しているのか、何を目指しているのかをしっかりと体現したものになっています。コーポレートビジョンである「あたりまえを、発明しよう。」、経営理念である「幸せから生まれる幸せ」について、ご覧いただいた皆さんに理解いただける表現になっていると思います。

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改めてですが、リブセンスは、どんな「幸せ」を生み出し、どんな「あたりまえ」を志向しているのでしょうか。

永澤:
人は生きる上で選択をし続けていると思うんですよね。私は、事業を通じて、ユーザーがより幸せになるための選択肢を提供し、より豊かな人生を送れるような価値を提供していくことがリブセンスとしての喜びであり、リブセンス社員の幸せにも繋がると考えています。社員自身もそれが叶えられる世界を望んでいますし、それを実現する事がモチベーションの源泉になっていると思います。リブセンスが企業として描いている「あたりまえ」は、「世の中に定着させる」ことですけれど、私が考えているのは、それに加えメディアの構造や人の行動を変化させ、「世の中を革新する」「一歩でも前進させる」ことだと考えています。それを実現するのに重要なのは「両輪」。事業・サービスの構造と人の行動はリンクしていると思うんです。その両輪で変化させていくことが社会への貢献や人の幸せに繋がっていくと思いますし、リブセンスのサービスによってユーザーが幸せになることが私たちの目指す価値そのものだと考えています。

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このような考え方は他社にはないのでしょうか?

永澤:
目線の近いところはあるとしても、本質的に「幸せ」を価値としてサービス提供しているベンチャー企業は少ないんじゃないでしょうか。だからこそ、真摯に取り組むことが他社との差別化に繋がるのではないかと思います。

新コーポレートサイトのTOPページイメージ

新コーポレートサイトのコンセプトは。

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今回のコーポレートサイトは、デザインがとてもカッコイイですね。コンセプトは何ですか?またこだわりの手法は。

永澤:
コンセプトは「浸透( OSMOSIS )」として定義しました。「浸透」を表現するにあたり「Blur」「Lettering」「Illustration」といった3つのデザインエレメントを骨子として用いました。社会の課題を解決する手段としての「リアルデータエンジニアリング」により、世の中が良くなっていく様をこれらのエレメントを多用することで体現しています。例えば、「Blur」。イラストレーションのバックグラウンドやポインタに追従する水滴が落ちるアニメーション、そしてリアルデータエンジニアリングに裏付けされた事業である事をブラー後にデータを模した様々なアイコンが浮き出るギミックで表すなど、細部に「浸透」が知覚できる仕掛けをふんだんに施し、社会に対する企業のスタンスを表現しています。また、レタリングという手書き文字の表現は、採用サイトとの整合性や一貫性を持たせる為に用いています。採用サイトで使用していたレタリングは、コーポレートサイトでも継承し、「ネットとリアルの分断を超えていく」という企業としての指針を表現するにあたり、「リアル」な要素を残しておくことで、サイト内でネットとリアルを共存させる事を知覚できる様にしました。またレタリングのビジュアルによって、親しみやすく勢いを感じる企業風土を演出しています。
ライティングも一文字一文字丁寧に起こしました。チャレンジングな精神や勢いも表現しているコーポレートサイトは、採用サイトのようにリアルな実状ではなく、現状にプラスして企業が見据えている未来を伝えたかった為すべての要素に意味を保たせています。

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読者により一層理解促進されるような設計になっているんですね。また事業ページを刷新されましたね。制作においては何に重点を置かれましたか?

永澤:
「直感的に」伝わるか、また理解ができるかを大事にしました。ポイントは、事業ページを見てくれる人にちょっと考えてもらう内容にしたことですね。こちらから全てを語らず、読み手が内容を踏まえて、当社が何をしようとしているかを考えてもらうことでその理解が進みやすい状態を創れたらと考えています。

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ちょっと読者に考えてもらう、新しい発想ですね。アニメーションの活用も印象的ですが、なぜアニメーションを採用したのですか。

永澤:
静止画では伝えきれない細かいニュアンスを伝えられるからです。単純にトレンドやテック感を出すのではなく、「浸透」というコンセプトに沿ったニュアンスを出し切りたいと思い、活用しました。先程のデザインコンセプトに紐づきますが、当社の目標とする未来の体現は抽象度が高く難易度の高いものでしたが、戦略や伝え方、企業の見え方が大きく変化するタイミングであるため、今までのイメージを継承しつつも進化していることを、直感的な動的表現と、言葉で説明するコンテンツの双方で理解が進みやすいクリエティブを目指しました。

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細部にもこだわりを感じますね。
昨年夏には採用サイトをリニューアルし、今回コーポレートサイトをリニューアルしましたが、両サイトで最も伝えたいことは何ですか?

永澤:
採用サイトは「企業の現在」として等身大の姿を、コーポレートサイトは「企業の未来」として目標とする未来像を映し出すものとして、定義しました。コーポレートサイトは、採用サイトのようにリアリティのある事実を伝えるのではなく、より理念的で目標とする未来を理解してもらうことが、今回のリニューアルでは重要であると考えています。自分たちがやっていることだけではなく、なぜそれをやっているのか、ということをユーザーに理解してもらう=考え方を浸透させるような設計にする事で、共感しファンになってくれる人たちを増やしていきたいと思っています。当社の採用サイトでは、インタビューやオフィス風景を通してどんな人がどのような想いで働いているかを伝えています。今回のコーポレートサイトでは、現在取組んでいることを通して描いている未来を伝えていきたいです。両サイトでリブセンス「らしさ」を発信することで、採用候補者やビジネスパートナーなどステークホルダーのみなさんに当社の思想が浸透していく事を願っています。

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最後に、サイト訪問者に最も浸透して欲しいポイントを教えてください!

永澤:
会社として、どういうあたりまえを志向するのか。そのために何をやるのか、ですね。解決するべき社会の課題、時代性や今の組織規模を踏まえたあたりまえの姿、つまりリブセンスが成し遂げようとしていることをご理解いただくことで、リブセンスという企業の魅力やサービスの価値を感じていただけたら嬉しいです。

デザインのすべてに、細部までこだわった意思が宿っているのですね。
せひ新しいコーポレートサイトをご覧になった皆さんにその意思を感じ取っていただき、リブセンスという企業の理解が進んでくれたら嬉しいです。
永澤さん、ありがとうございました!