こんにちは。リブセンス広報です。
今回インタビューさせていただいたのは、音楽という華やかな世界から、IT企業のデザイナーへと転身された高木さん。デザイナーを目指したきっかけから、LCL(LIVESENSE CREATIVE LEADER)としてのデザインの極意、ブランド戦略グループリーダーとしての会社への想いなどじっくりとお話を伺いました。

LIVESENSE CREATIVE LEADERの高木さん

音楽活動から一転デザイナーとなったきっかけとは。

広報:
リブセンスに入社する前は音楽活動をされていたのですよね。その時のお話からお聞きしたいです。

高木:
音楽を始めたのは高校生の頃でした。大学に進学した後、地元福岡で有名なバンドの方からヴォーカルとしてオファーされたことをきっかけに、本格的に音楽活動をスタートしました。ある日、一念発起して東京に上京したんです。バイクで自走だったんですけど(笑)。その後は、代々木公園での路上ライブからスタートし、ライブハウスへの出演やCDを発売するなど、着実にキャリアを積んでいきました。約15年間は音楽漬けでしたね。

広報:
すごいですね!ぜひ歌声もお聞きしたいです。音楽業界で成功を収めているように見えますが、なぜデザイナーに転身されたのでしょうか?

高木:
音楽は、「自分だけの夢」だとふと感じたんです。「デザインすること」でなら、自分がこれまで経験してきたことを活かし、誰かのためになるアウトプットを出し続けられるのではと思いました。音楽活動を辞め、就職したのは某商社でした。企業ブランディングの部署に配属され、エディトリアル、パッケージ、プロダクトのブランディング、企業や商品ブランドのWebサイトなどのクリエイティブ全般を担当しました。当時はもの凄いスピードで成果物をあげなければならず、じっくりとデザインに向き合える環境ではありませんでした。その後、Flash全盛期にフリーランスになり、自分のクリエイティブに対するユーザーの反応を、ダイレクトに実感できました。けれどリーマンショック以降は、流行に乗っているだけで中身がない、「カッコいい」だけのクリエイティブで溢れていたんです。そんな時、より意味のある、価値のあるものを作りたいなと思い始めました。

広報:
なるほど。高木さんはデザイナーになるため、どのように勉強をされていたのですか。またどうしたら優秀なデザイナーになれると思いますか?

高木:
デザイナーになるための勉強をしたことはないです。某商社を退職後、制作会社を転々として、何日も寝れない日が続くような苛烈な環境でひたすらデザインしてアウトプットし続けた時期がありました。いくらアウトプットを出しても自分の表現したい欲求が満たされず、改善を繰り返し、ひたすら目の前のことに一生懸命取り組んでいるうちにスキルは身についていきました。デザイナーはアスリートだと僕は思います。デザインの練習を愚直に繰り返し真っ直ぐに向き合うことで、一人前のデザイナーになっていくんだと思います。逆に、デザイナーになりたくてデザインをしている人は、デザイナーになる事は難しいかもしれません。

ものづくりへの「こだわり」。

広報:
デザイナーとなるまでには、紆余曲折あったのですね。リブセンスへの入社のきっかけは?

高木:
デザイナーとして働いていくうえで、自分の感性をクリエイティブに活かせる企業を探していました。そんな時、リブセンスから直接オファーが来たのです。村上さん、桂さんに面接していただいたのですが、デザインの価値を理解し大切にしてくれる会社だと感じ、当時社員数30名程度だったリブセンスに入社しました。

広報:
まだ人数も少ない企業で、デザイナーとしての業務は多忙だったと思います。高木さんが全てのアウトプットに対して最も大切にしていることは何ですか。

高木:
「こだわり」ですね。つまり自分や一緒にものづくりをしている人の「意思」を入れること。また、部分最適と全体最適、主観と客観など両方の視点を持ち、思考の振り子ができることを意識しています。徹底した客観視を行なって対象物の輪郭を整えることは、プロとして必要な要素ではあると思うけど、90%の客観視点でアウトプットした成果物の中に10%の主観視点、謂わゆる「意思」が入れられるか否かで、デザインの価値に圧倒的な差が生まれると思っています。アートとデザインとの違いに例えると、アートは、制限のない世界で自分の生き方をカタチにして共感を得るもの。デザインは、制限のある世界で、対象の要望を整理してそこにある課題を解決する手段です。デザインにおいては膨大な客観視点から形造られた俯瞰的要素の中に作った人の「らしさ」がにじみ出るようなものを作りたいですね。

広報:
デザイナーはセンスも必要だという意見も聞きますが、高木さんはセンスは必要だとお考えですか。また、デザイナーを目指す方には何が必要だと思いますか。

高木:
センスは必要だと思います。センスっていろんな捉え方があると思いますが、僕が思うセンスとは、「直感力」のことです。それは感性・知識という土台があってこそなので、それらを磨く為に勉強や努力を日々続けられるマインドが大事ですね。また、デザイナーを目指す人には「気配りできること」が重要です。様々なことにアンテナを張り、対極にも意識を向けられる人は、例え現時点でデザイナーとして習熟度が低くても、3年後には素晴らしいデザイナーに成長できる可能性を大きく秘めています。

広報:
現在リブセンスではデザイナー採用を強化していますが、どんな方を求めていますか。

高木:
「社会や事業のために、リスクを恐れず自己成長のために挑戦し続けたい」という方は、リブセンスには合うと思います。特に経営陣やマネージメント層は優秀な方が多いので、そういった人たちと意識してコミュニケーションできる方は、成長もできる環境があると思います。また、UX手法やデザイン思考などのフレームワークはいつの時代も存在していて、基本としての「型」を知る事は重要なのですが、そこで思考が固まってしまっているデザイナーも一定存在していると感じています。自身の保有しているスキルを必要なところで活用でき、事業を成功させる事にフォーカスできるデザイナー。その為に、会社という狭い枠に収まらず既存の常識から少し離れたところで自身の可能性を追求していける冒険者がマッチすると思います。

広報:
高木さんは、LCL(LIVESENSE CREATIVE LEADER)としてデザイナー陣をマネジメントされていますが、これからのデザイナーチームの目標を教えてください。

高木:
採用です。リブセンスには「いい意味での余白」があって、成長機会も多いと思うのですが同時にデザイナーの役割が広域になってきている現状もあり、自己成長がもっともプライオリティ高く仕事に取り組めるような環境にしていきたいと思っています。先ほど申し上げたような人材をより多く獲得して、デザイナー個々の自己成長を加速させられるような環境を醸成する為にも、採用に注力していきたいと思っています。

広報:
高木さんはブランド戦略グループのリーダーでもあります!採用サイトのリニューアル、本当にお疲れ様でした。無事にリリースできた今、率直な感想をお聞かせ下さい。

高木:
上手にリブセンスの魅力を表現できたなと。
採用サイトリニューアルプロジェクトは、リブセンスとして向かうべき未来を語る上で、現状のオフィスやWebサイトのトーン&マナーで本当に正しいのだろうかと原点に立ち返るところから始まりました。
リニューアルの目的として大きく2つあります。
ひとつ目は、リブセンスが目指す世界観や強みを適切に表現すること。これは企業のプレゼンス向上という文脈において、仕組みとテクノロジーで社会課題を解決するベンチャー企業であることを起点とし、定量・定性データの蓄積によるユーザーニーズを抽出する取り組みや、PDCAを適切に回せる開発体制が備わっていることを明確にしたかったことが前提としてあります。
ふたつ目は、インタビューコンテンツを通して社員の想いを表現すること。こちらは人のプレゼンス向上という文脈で、個性的かつ尖った人の多いリブセンスならではの特徴をもっと打ち出していきたい、という想いがありました。
今回の採用サイトリニューアルプロジェクトでは、リブセンスの「人」の魅力を最大限に引き出し、根付かせる土台をカタチとして実現できたと思っています。

広報:
今、ブランド戦略で最も取り組みたい施策は何ですか。またどのような取組みをすることで、当社らしいブランディングができるとお考えですか。

高木:
ブランド戦略グループは、リブセンスブランドのもつ価値をもっとも正しく理解し、企業のフェーズに合わせたブランドイメージを的確に表現することをミッションの一つとして設定しています。
対して、現状のリブセンスを語っているモノゴトにはまだまだ「らしさ」が表現されていないものが多いですし、明確になっていないものが多いと思っています。
この課題に対して、あらゆるセクションとコラボレーションする事で、最終的に伝わるべきリブセンスの「イメージ」を、正しい品質として「カタチ」となって表れてくるモノづくりが出来る組織にしていきたいと思っています。

広報:
ところで、高木さんのプライベートは謎のヴェールに包まれていると、社員みんなが囁いています(笑)。プライベートの過ごし方をこっそり教えてください!

高木:
僕はひとつのことをやり始めたらずっとやり続ける性質があるんです。水泳は子供の頃から継続していますし、バイクはアメリカンが好きでずっとハーレーダビッドソンに乗っています。洋服もモノトーンが好きで有彩色の服は着ないですね。休日は、散歩をしたり本を読んだりすることが好きです。好きな作家を1人挙げると江戸川乱歩で、彼の世界観に魅力を感じます。

広報:
ハーレーが似合いますね!最後に、高木さんご自身の今後の目標を教えてください。

高木:
大切な人を守りきりたいですね。その為に、常にブレないクリエイターであり続けたいと思います。

最後の回答がカッコ良すぎました。圧倒的な眼力とストレートなワードに心が揺さぶられました。
クリエイティブに対する熱い想いとこだわりは、カタチのないものを設計し表現するためなのですね。
高木さん、ありがとうございました!

高木さんがデザインを手がけた半期コーポレートテーマのポスター