こんにちは。リブセンス広報IR担当です。
リブセンスが2014年2月14日に発表した、2018年12月期を最終年度とする中期経営計画「Livesense2018」について、各施策のキーパーソンにインタビューし、具体的な取り組みや進捗についてお伝えする企画。第2回目は、事業面を統括する取締役の中島です。
今回は、普段のIRミーティングで証券アナリストや機関投資家の方々からよく頂くご質問内容を含め、私が代弁者として中島に質問したいと思います。
広報IR:
2014年、事業面の重点施策として「既存事業の集客力強化」に取り組んでいます。
第1四半期においては、ダイレクトな集客に結び付くWeb広告に加え、中期的なサービス認知度向上や効果測定調査を目的に地方でアルバイト求人サイト「ジョブセンス」のテレビCMも放映しました。結果、売上高に対する広告宣伝費の比率が上がっています。
そもそも、2013年以降有料広告宣伝を始めた背景と、今後の方針について確認させてください。
中島:
リブセンスは、サービス開始から2012年まで、GoogleやYahooなどの検索サイトを使ってユーザーが弊社の運営するサイトへ訪れる方法、いわゆるWebマーケティング(SEO:検索エンジン最適化(Search Engine Optimization)のみで集客を行ってきました。当時は、余裕資金がなかったり、収益性が低かったりといった背景から、有料広告が出せない状況でした。一方で、SEOだけでは長い目で見て集客できる数に限界があり、中長期で事業を拡大させていくには集客チャネルを増やす必要があると課題を感じていました。
そこで、2011年の終わりから、ご契約企業へ広告出稿によりユーザー集客を強化したいという意図をご説明した上でサービス価格体系を変更させていただき、有料広告を出しても一定の利益が確保できる収益基盤を整備しました。その後、2013年第1四半期からWeb広告の出稿を開始しました。
今後の広告宣伝の考え方としては、引き続き、費用対効果をしっかりと管理・向上させつつ、タイミングや規模感を含め事業そのものの戦略と併せて運用していきます。
一方で、Webマーケティングについても、サイト改善のスピードアップを図るなど、これまで以上にユーザビリティを向上させ、集客施策の1つとして強化していきます。
広報IR:
アルバイトを中心に人手不足が深刻化したこともあり、対応策の1つとして、2014年の初めから、求職者に対して電話サポートを始めるなど、カスタマーサポートの体制を強化しています。アルバイト・派遣社員の数を増やし人件費等をかけてでもこうした取り組みを行っている狙いと、手応えを教えてください。
中島:
成功報酬型は、企業・求職者/家探しをしている方・弊社の目的意識が同じです。求人領域であれば、それら三者が皆「採用」という同じベクトルを向いています。
求職者に対する電話サポートは、掲載で一切費用をいただかず、求人企業の採用支援をする立ち位置にある弊社だからこそやれる、やる意味のあるサービスと言えます。また、インターネットサービスは、ネット上だけでなく電話によるサポートを加えることで効果が高まる傾向もあります。実際に、電話サポートすることで、少しずつ応募促進や採用に効果が出始めています。
確かに一定のコストはかかりますが、仕組みをしっかり構築することで効率よくPDCAを回していくことも可能です。外部委託をお願いしても可能な部分は徐々に外注しながら、事業拡大に繋げていきたいと考えています。
広報IR:
これまで「成功報酬型ビジネスモデル」の特長や一貫した内製化によるサービス開発力によって、高効率な事業運営を実現し、営業利益率は40%前後と、数あるインターネットサービス企業の中でも比較的高い状況でした。
今期は「先行投資の1年」と位置付けていることもあり、一時的な収益性低下を想定していますが、事業運営の効率性や今後の収益性について、どのように考えていますか。
中島:
事業運営の効率性は、変わらず重視しています。ただ、成長過程の中で今期のように基盤強化を優先すべき時期は必ずあります。
事業は人が創るものなので、人の採用・育成も重要な先行投資だと考えています。一時的な効率性を求めすぎるあまり、組織が疲弊してしまったのでは意味がありません。優秀な人材(人財)が集まって知恵を絞り1つになるからこそ、世の中から求め続けられるサービスが生まれ、収益も上がるのだと思います。
収益性は一時的に低下しますが、収益額を積み上げながら、事業規模そのものを拡大させていきたいと考えています。2018年12月期の業績目標においては、営業利益率30%と想定しており、徐々に事業効率を高めていくことは可能と考えています。
広報IR:
リブセンスの既存事業である、アルバイト求人サイト「ジョブセンス」、転職サイト「ジョブセンスリンク」、派遣求人サイト「ジョブセンス派遣」、不動産賃貸サイト「door賃貸」、そして転職クチコミサイト「転職会議」について、それぞれ成長ポテンシャルはどの程度あると考えていますか。
中島:
求人や不動産業界の市場規模は、中期経営計画の中でもご説明しているとおり、アルバイト求人広告市場は約1,500億円(紙媒体を含む)、正社員転職市場は約1,750億円(人材紹介を含む)、不動産賃貸市場は約2,500億円(仲介を含む)とそれぞれ推計されています。かなり大きい市場があり、まだまだ弊社の成長余地があると言えます。
成功報酬型ビジネスモデルは、インターネット時代だからこそ実現できるモデルであり、利用企業にとっては高い費用対効果、ユーザーにとっては豊富な情報や祝い金が得られる非常に優れた仕組みです。これからのサービス提供モデルの正しい姿だと信じており、成功報酬型のサービスを「あたりまえ」にしていくことは、使命のようなものだと思っています。他社に先駆けてこのモデルを確立し、現在、抜きん出たポジションにいることは間違いありません。
一方で、全国的に見れば弊社のサービスは未だ認知度が低く、業界大手のサービスと比べるとまだまだ差別化ができていないというのが現状です。対企業、対ユーザー、それぞれのサービスで改善余地はかなりあり、事業部長を筆頭に様々な施策を進めています。詳細は、事業部長インタビューに譲りますね。
広報IR:
2014年は、既存事業だけでなく新領域の開拓として「市場調査」や「種まき」にも取り組んでいます。具体的な取組みや進捗を教えてください。
中島:
市場調査については、国内市場はもちろんのこと、6月12日に発表したとおり米国においても子会社をつくり調査を開始します。現実として、先端のインターネットサービスは未だ米国初のものが多く、トレンドをいち早く察知し、現地での有効なビジネスネットワークを築いていくためにも、実際に拠点を持つということが大切だと考えました。
種まきとしては、社内で次々未来の「あたりまえ」が生まれる体制を作るべく、昨年後半に新規事業委員会を立ち上げ、今年からは新規事業の社内公募「Egg(エッグ)」を始めました。また、新サービスも他社と手を組むかたちで、BtoBのサービス比較・発注サイト「imitsu(アイミツ)」などを始めています。
広報IR:
事業投資施策の1つとして「M&A」も視野に入れていますが、一般的にM&Aは両社
の企業文化の違いや人的なしがらみもあって、あまり上手くいかないケースが多いように思います。
事業面を統括する取締役として、M&Aについてどう考えていますか。
中島:
M&Aは、事業の初期段階において、スピードを買うという意味で有効な手段の1つです。案件ありき、絶対やる、というスタンスでも、リスクがあるから絶対やりません、というスタンスでもありません。中期経営計画を達成していく上で、事業の親和性があると判断すれば、身の丈にあった規模感を考慮しながら実行したいと考えています。そして、やるからには、しっかりと両社でコミュニケーションを図り、歩み寄りながら成功させていければと思います。
広報IR:
今回、中計発表までの道のりの中で、中島さんをはじめ経営陣とたくさんディスカッションさせていただきました。そして出来上がった中計において、私が最もリブセンスらしいと思い、社内外のステークホルダー、そしてこれからリブセンスメンバーに加わってくれる仲間たちにしっかり知っていただきたいのが、リブセンスが手がける“あたりまえ”(事業への考え方)です。
4つの考え方について、改めて解説をお願いします。
中島:
1つ目の「社会の発展や問題解決に貢献できる事業」は、例えば成功報酬型のアルバイト求人サイト「ジョブセンス」の始まりがそうであったように、人が不便や問題と思っていることを解決できるようなサービスです。インターネットサービスにも様々なジャンルがあります。娯楽系のサービスを決して否定しているわけではありませんが、一例として、弊社が新規事業でソーシャルゲームをやるかという議論が出た時に、そこにきちんと思考が介在するようにしておきたいとは思います。リブセンスが新規事業を手掛けていく上で、根本的に大切にしていく共通認識を言語化すると、この言葉に集約されました。
2つ目「永く多くの人々から愛される事業」。社会的価値と表裏一体だと思うのですが、一過性の事業、一時的に一部の人たちの間でブームになったけれど別になくなっても困らない、というサービスではなく、持続的にそして多くの人たちにとって必要とされる事業を志向しよう、という考えです。
3つ目「リブセンスが業界のNo.1となることができる事業」。なぜ、その事業・サービスをリブセンスが手掛けるのか、リブセンスが手掛けることの意味を考えた際、主導権を持てる立場で提供できるかどうかは大切だと思います。村上の言葉を借りると、2番目のサービスは、別になくなっても困らない。手掛けるサービスそのものが世の中にプラスに働くサービスならば、世の中に良い影響を与えていく、そしてその影響度を大きくしていくには、No.1になることが求められると思うのです。
4つ目「10年スパンで売上規模500億円規模へ拡大できる事業」は、まず前提としてニッチなサービス、ごく一部の人にしか使われないサービスではなく、潜在的に大きな市場が見込めること、拡大余地があることが必要だと考えています。加えて、長年かけて売上を500億円になりました、というのではなく、スピード感として10年スパンで500億円規模へ拡大できるという基準を設けました。インターネット業界で10年スパンと言われても、、、そんな先を見通せるのか?と思う方もいらっしゃるかと思いますが、むしろ10年かけてでもその規模を追求できる、追求する価値のある事業にこそチャレンジしていこう、そういう事業こそ「あたりまえ」と呼べるのだと考えています。
中島さん、ありがとうございました。
第3回は、2月19日に共同運営を開始したビジネス比較・発注サイト「imitsu(アイミツ)」について、株式会社ユニラボの代表取締役 栗山氏へインタビューします。